小さいながらも優れた木の「オヒアレフア」は、ハワイ諸島のさまざまな 環境条件に順応したハワイ固有種で、平地と雲霧林の両方に生育す るフトモモ科の常緑樹である。この木は、火山ガスにも負けず固まった ばかりの溶岩の間に生えるたくましい低木になったり、霧深い熱帯雨 林にねじれた枝を大きく広げる高さ30mもの大木に成長することもあ る。鮮やかな赤やアイボリー、黄色、オレンジ、サーモンピンク色のポン ポンのような形をしたレフアの花は、フラのハラウ(グループ)やレイ作り の職人、絵本『ドクター・スース』の読者からもこよなく愛されている。
オヒアの木はハワイの森林の中枢的な存在だ。木が成長して樹 冠を形成し始めると、そこに他の植物が育つようになる。ハワイ固有種 のこの木は、アパパネやイイヴィといった絶滅危惧種の鳥やオーペアペ アというハワイに生息する唯一の陸生哺乳類のコウモリをはじめ、多く の在来種にとって生息環境や栄養を与えてくれる。霧を遮断するオヒア の木は、島の帯水層への水分補給という重要な役割を果たす。苔やシ ダで覆われたオヒアの葉や枝は森の中の霧を吸収し、その水分を土に 送り込み、地中の生き物たちを養っている。「オヒア・レガシー・イニシア チブ」会長のJC・ワトソンさんは、「ハワイの原生林は、外来種の森林よ り多量の雨水を蓄えられるのです。私たちの飲料水の質は、オヒアの木 の健康状態に左右されるといっても過言ではありません」と話す。
2014年、オアフ島に住むワトソンさんは近所のマノア渓谷を運 転中、美しいオヒアの木が一本だけぽつんと生えているのを目にした。 なぜ周りに何も生えていないのかと疑問に思い、広がる都市化のせい であろうと推測した。その後、植木市で一番小さいオヒアの木ですら、 驚くほどの高値で売られているのを知ったワトソンさんは、オヒアの木 を育て、寄付する団体を発足させることを思いついた。それが「オヒア・ レガシー・イニシアチブ」の始まりだ。理事会を組織し、森林保護団体の
「マラマ・マノア」と協力して、マノアの住宅所有者に350本のオヒアの 苗木を植えてもらう植樹活動「マノア・アーバン・オヒア・プロジェクト」 を試験的にスタートさせた。オヒア・レガシー・イニシアチブは、繁殖の デモンストレーションやマノアとマキキの植物園を通してコミュニティ にこれまでに約50万個の種子を提供し、これらの樹木の成長を記録す るためのオンライン目録データベースを作成している。
オヒアの木は開発地域での減少傾向に加え、ハワイ島全土とカ ウアイ島の一部の地域では、タマムシや人間によって感染した木が移 動することで広がり、「ラピッド・オヒア・デス」と呼ばれるオヒアの木を 急死させる深刻な真菌病に脅かされている。ハワイ大学マノア校の熱 帯農業・人的資源学部は、ハワイ全島のパートナーと共同で対策を練 るためのワーキンググループを発足した。オアフ島では、このオヒアの 病気の感染例はまだ報告されていないが、「オヒア・ラスト」と呼ばれる 葉に赤いカビを発生する病害のような脅威が他に存在する。ワトソンさ んによると、病害予防のために一番効果的なのは、そもそも木を傷つけ ないことだという。「研究の結果、ラピッド・オヒア・デスはオヒアの木に できた傷から入り込んで発症することが分かりました。そして傷を負っ たり弱っている木は病気にもかかりやすいのです」と説明する。
オヒア・レガシー・イニシアチブのボランティアは、州内の学校の 学生たちに「ラピッド・オヒア・ライフ」と題してオヒアの育て方を教えて いる。既存の木から枝を切り取って植えるのではなく、種から育てた苗 木を使うことで、多様な遺伝子を持つ丈夫な木を育てることができる。 個人や地域の団体は、植樹の待機リストへの登録や各地域での植樹 活動への寄付、ワークショップや木の贈り物のスポンサーシップなどを 通じて、オヒア・レガシー・イニシアチブの取り組みに参加することがで きる。
ハワイ語のモオレロ(物語)では、オヒアは火山の女神ペレの聖な る植物とされ、オヒアの木は戦争の神クーまたはフラの女神であるラカ の象徴としても登場する。古代ハワイの社会では、オヒアレフアの花は レイの材料として、また葉は茶として、堅い木材は道具や武器やキイ(神の彫刻)を作るのに使われていた。オヒアレフアはハワイの生態系 にとってのみ重要な植物ではない。「自然を基盤とするハワイ文化で は、土地とそこに住む生き物を分けて考えることはできません。オヒア はハワイそのものであり、裏庭でこれらの植物を育てている人々はそれ を支える影の英雄なのです」とワトソンさんは語る。
美しい赤い花が咲くことで知ら れるオヒアの花には実は様々な 色がある。この花は歌や物語に も頻繁に登場する。
オヒアを絶滅の危機から救う取り組みを行っているオヒア・レガシー・ イニシアチブの活動によってマノア渓谷だけでもオヒアの個体数は 4倍に増えた。
レフアは、1923年地方議会 によってハワイ島の花に指 定された。
「オヒアはハワイそのものであり、裏庭でこれらの植物を育てている人「オヒアはハワイそ のものです。裏庭でオヒアを育てている人たちはそれを支える影の英雄なのです」とオヒア・ レガシー・イニシアチブ会長のJC・ワトソンさん。
小さいながらも優れた木の「オヒアレフア」は、ハワイ諸島のさまざまな 環境条件に順応したハワイ固有種で、平地と雲霧林の両方に生育す るフトモモ科の常緑樹である。この木は、火山ガスにも負けず固まった ばかりの溶岩の間に生えるたくましい低木になったり、霧深い熱帯雨 林にねじれた枝を大きく広げる高さ30mもの大木に成長することもあ る。鮮やかな赤やアイボリー、黄色、オレンジ、サーモンピンク色のポン ポンのような形をしたレフアの花は、フラのハラウ(グループ)やレイ作り の職人、絵本『ドクター・スース』の読者からもこよなく愛されている。
オヒアの木はハワイの森林の中枢的な存在だ。木が成長して樹 冠を形成し始めると、そこに他の植物が育つようになる。ハワイ固有種 のこの木は、アパパネやイイヴィといった絶滅危惧種の鳥やオーペアペ アというハワイに生息する唯一の陸生哺乳類のコウモリをはじめ、多く の在来種にとって生息環境や栄養を与えてくれる。霧を遮断するオヒア の木は、島の帯水層への水分補給という重要な役割を果たす。苔やシ ダで覆われたオヒアの葉や枝は森の中の霧を吸収し、その水分を土に 送り込み、地中の生き物たちを養っている。「オヒア・レガシー・イニシア チブ」会長のJC・ワトソンさんは、「ハワイの原生林は、外来種の森林よ り多量の雨水を蓄えられるのです。私たちの飲料水の質は、オヒアの木 の健康状態に左右されるといっても過言ではありません」と話す。
2014年、オアフ島に住むワトソンさんは近所のマノア渓谷を運 転中、美しいオヒアの木が一本だけぽつんと生えているのを目にした。 なぜ周りに何も生えていないのかと疑問に思い、広がる都市化のせい であろうと推測した。その後、植木市で一番小さいオヒアの木ですら、 驚くほどの高値で売られているのを知ったワトソンさんは、オヒアの木 を育て、寄付する団体を発足させることを思いついた。それが「オヒア・ レガシー・イニシアチブ」の始まりだ。理事会を組織し、森林保護団体の
「マラマ・マノア」と協力して、マノアの住宅所有者に350本のオヒアの 苗木を植えてもらう植樹活動「マノア・アーバン・オヒア・プロジェクト」 を試験的にスタートさせた。オヒア・レガシー・イニシアチブは、繁殖の デモンストレーションやマノアとマキキの植物園を通してコミュニティ にこれまでに約50万個の種子を提供し、これらの樹木の成長を記録す るためのオンライン目録データベースを作成している。
オヒアの木は開発地域での減少傾向に加え、ハワイ島全土とカ ウアイ島の一部の地域では、タマムシや人間によって感染した木が移 動することで広がり、「ラピッド・オヒア・デス」と呼ばれるオヒアの木を 急死させる深刻な真菌病に脅かされている。ハワイ大学マノア校の熱 帯農業・人的資源学部は、ハワイ全島のパートナーと共同で対策を練 るためのワーキンググループを発足した。オアフ島では、このオヒアの 病気の感染例はまだ報告されていないが、「オヒア・ラスト」と呼ばれる 葉に赤いカビを発生する病害のような脅威が他に存在する。ワトソンさ んによると、病害予防のために一番効果的なのは、そもそも木を傷つけ ないことだという。「研究の結果、ラピッド・オヒア・デスはオヒアの木に できた傷から入り込んで発症することが分かりました。そして傷を負っ たり弱っている木は病気にもかかりやすいのです」と説明する。
オヒア・レガシー・イニシアチブのボランティアは、州内の学校の 学生たちに「ラピッド・オヒア・ライフ」と題してオヒアの育て方を教えて いる。既存の木から枝を切り取って植えるのではなく、種から育てた苗 木を使うことで、多様な遺伝子を持つ丈夫な木を育てることができる。 個人や地域の団体は、植樹の待機リストへの登録や各地域での植樹 活動への寄付、ワークショップや木の贈り物のスポンサーシップなどを 通じて、オヒア・レガシー・イニシアチブの取り組みに参加することがで きる。
ハワイ語のモオレロ(物語)では、オヒアは火山の女神ペレの聖な る植物とされ、オヒアの木は戦争の神クーまたはフラの女神であるラカ の象徴としても登場する。古代ハワイの社会では、オヒアレフアの花は レイの材料として、また葉は茶として、堅い木材は道具や武器やキイ
(神の彫刻)を作るのに使われていた。オヒアレフアはハワイの生態系 にとってのみ重要な植物ではない。「自然を基盤とするハワイ文化で は、土地とそこに住む生き物を分けて考えることはできません。オヒア はハワイそのものであり、裏庭でこれらの植物を育てている人々はそれ を支える影の英雄なのです」とワトソンさんは語る。
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