創造的な産業支援
作家とプロデューサーを育てるクリエイティブラボ・ハワイ
エイミー・バーチャーさんはクリスマスの朝、子供のようにリビングル ームの真ん中に座っていた。テレビ画面に釘付けの彼女を囲んで家族が座っている。テレビにはライフタイムチャンネルのホリデーをテーマにした新作映画「デリバリング・クリスマス」が放送されている。15分間のミニムービーは、夫を亡くした母と娘に愛情を抱くようになったある郵便配達員の物語だ。ハワイに住む作家のバーチャーさんは自分が書いた台詞を口にする俳優に見入った。映画の最後には、「脚本 :エイミー・バーチャー」というクレジットが流れた。
「その瞬間とても感動したわ。自分の作品と脚本家という仕事へ の愛情を感じたの」とバーチャーさん。
趣味のライターだったバーチャーさんは、6ヶ月という短い期間で 有名な制作会社に脚本を送る機会を得た。テレビ局のライフタイム にミニムービー作家として採用され、彼女の脚本をもとに制作された 映画が放送された。さらに2つの作品の執筆を委託されることとなっ た。全ては作家志望者たちを創造的起業家に育てる「クリエイティブ ラボ・ハワイ(CLH)」による1年間の指導プログラム「ライターズ・イ マーシブ」への参加がきっかけだった。ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)のクリエイティブ産業部門が主催するクリエイティブラボ・ハワイ は、ハワイの創造的知的財産の輸出増加、投資の誘致、州内のクリエイティブ産業のエコシステム強化を目的とし、創造的起業家たちを支援することで、メディアや音楽、ファッションデザイン業界を活性化させるための取り組みだ。CIDチームは、1年間の指導プログラムとブレインストーミング、3ヶ月にわたる指導と公共プログラムを通して、ハワイのクリエイティブ産業を担う若手アーティストや作曲家、映画製作者、デザイナーの発掘と独立した起業家への育成に力を入れている。
バーチャーさんは、5日間にわたるアニメーション・ライターズ・イマーシブ・プログラムの歓迎レセプションで、ウォルト・ディズニー・アニメーションの映画『モアナ』の作家の一人であり、講師として参加していた脚本家のパメラ・リボンさんと話す機会を得た。バーチャーさんがロマンス小説や個性的な映画を好む作家志望であると知ったリボンさんは、ロサンゼルスの制作会社、Hybridの脚本家とプロデューサーをバーチャーさんに紹介し、その会社を通して彼女の作品をライフタイムに送ってくれた。それは小さな会話から生まれた大きなチャンスであった。
クリエイティブラボ・ハワイ は、2012年にDBEDTのクリエイティたのは、CIDが資金を提供するミュージック・イマーシブとファッション・イマーシブ・プログラムであった。
本作家や映画製作者、小説作家といったCLH参加者は、ライセンスやファイナンス、出版や知的資産権の保護に至るまで、クリエイテ ィブなビジネスを起業するための実践的なポイントを学ぶ。2013年にライターズ・イマーシブに参加したジョシュ・キムさんにとって、それは重要な情報源であった。彼が脚本と監督を手がけた作品『How to Win at Chess [Every Time]』は、第88回アカデミーアワードとゴ ールデングローブにタイ映画としてエントリーし、最優秀外国映画に選ばれている。
キムさんは「クリエイティブラボ・ハワイ のライターズ・イマーシブに参加する前は、脚本や映画業界に関する知識はそれほどありませんでした」と言う。「僕は香港のフィルムアカデミーでの短期講習以外、映画制作の専門学校に通ったことがありませんでした。本を読んだり、DVDを見たり、自分で映画を作ったりして独学で覚えた僕にと って、クリエイティブラボで学んだキャラクターシートの作成やラウンドテーブルでの意見交換といったことはどれも初めての経験で、とても役に立ちました」と語っている。
ワークショップには、業界の内情に詳しい人材が講師として全米から招かれる。参加者たちは彼らから映画業界の実情を知ることができるだけでなく、起業のためのヒントやアドバイスを得たり、若い作家志望者たちにとっては業界へ売り込むために重要なコネクション作りにも役立つ。映画『ミリオンダラー・べイビー』や『クラッシュ』で知られるアカデミーアワード受賞脚本家で、監督兼プロデューサーのボビ ー・モレスコ氏や、人気テレビシリーズ『ハワイファイブオー』の製作総指揮者のピーター・M・レンコフ氏、ピクサーのアニメーション映画『インサイド・ヘッド』を手がけたアカデミーアワード受賞脚本家のメグ・レフォブ氏などがこれまでに講師を務めている。
「脚本や映画制作の最前線で活躍するスターから教わることのできる素晴らしい体験でした。それぞれの講師から様々なことを学びました」と2013年のライターズ・イマーシブに参加したホノルル在住の小説家のクリス・マッキニーさんは語る。マッキニーさんが2011年に書いた脚本『Paradise Broken』が「Resurrection Boulevard」というショータイムのテレビ番組の製作総指揮者でイマーシブの講師の一人のデニス・レオンさんの目に止まった。「私が取り組んでいた作品を気に入ってくれ、もし局側から承認が出ていれば、彼がエグゼクティブプロデューサーとして制作してくれるはずでした。ライターズ・イマーシブは授業だけでなく、実際に仕事をしていく上でのパートナーと出会える場所でもあるのです」。
クリエイティブラボ・ハワイは、意欲はあるものの業界に入る足がかりのない熱心なアーティストたちに実質的な成果をもたらすものだ。バーチャーさんは「夢想家と実行者には違いがあるといいます。夢想家だった私はこのプログラムのおかげで実行者になることができたのだと思います」と喜びを語った。
創造的な産業支援
作家とプロデューサーを育てるクリエイティブラボ・ハワイ
エイミー・バーチャーさんはクリスマスの朝、子供のようにリビングル ームの真ん中に座っていた。テレビ画面に釘付けの彼女を囲んで家族が座っている。テレビにはライフタイムチャンネルのホリデーをテーマにした新作映画「デリバリング・クリスマス」が放送されている。15分間のミニムービーは、夫を亡くした母と娘に愛情を抱くようになったある郵便配達員の物語だ。ハワイに住む作家のバーチャーさんは自分が書いた台詞を口にする俳優に見入った。映画の最後には、「脚本 :エイミー・バーチャー」というクレジットが流れた。
「その瞬間とても感動したわ。自分の作品と脚本家という仕事へ の愛情を感じたの」とバーチャーさん。
趣味のライターだったバーチャーさんは、6ヶ月という短い期間で 有名な制作会社に脚本を送る機会を得た。テレビ局のライフタイム にミニムービー作家として採用され、彼女の脚本をもとに制作された 映画が放送された。さらに2つの作品の執筆を委託されることとなっ た。全ては作家志望者たちを創造的起業家に育てる「クリエイティブ ラボ・ハワイ(CLH)」による1年間の指導プログラム「ライターズ・イ マーシブ」への参加がきっかけだった。ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)のクリエイティブ産業部門が主催するクリエイティブラボ・ハワイ は、ハワイの創造的知的財産の輸出増加、投資の誘致、州内のクリエイティブ産業のエコシステム強化を目的とし、創造的起業家たちを支援することで、メディアや音楽、ファッションデザイン業界を活性化させるための取り組みだ。CIDチームは、1年間の指導プログラムとブレインストーミング、3ヶ月にわたる指導と公共プログラムを通して、ハワイのクリエイティブ産業を担う若手アーティストや作曲家、映画製作者、デザイナーの発掘と独立した起業家への育成に力を入れている。
バーチャーさんは、5日間にわたるアニメーション・ライターズ・イマーシブ・プログラムの歓迎レセプションで、ウォルト・ディズニー・アニメーションの映画『モアナ』の作家の一人であり、講師として参加していた脚本家のパメラ・リボンさんと話す機会を得た。バーチャーさんがロマンス小説や個性的な映画を好む作家志望であると知ったリボンさんは、ロサンゼルスの制作会社、Hybridの脚本家とプロデューサーをバーチャーさんに紹介し、その会社を通して彼女の作品をライフタイムに送ってくれた。それは小さな会話から生まれた大きなチャンスであった。
クリエイティブラボ・ハワイ は、2012年にDBEDTのクリエイティたのは、CIDが資金を提供するミュージック・イマーシブとファッション・イマーシブ・プログラムであった。
本作家や映画製作者、小説作家といったCLH参加者は、ライセンスやファイナンス、出版や知的資産権の保護に至るまで、クリエイテ ィブなビジネスを起業するための実践的なポイントを学ぶ。2013年にライターズ・イマーシブに参加したジョシュ・キムさんにとって、それは重要な情報源であった。彼が脚本と監督を手がけた作品『How to Win at Chess [Every Time]』は、第88回アカデミーアワードとゴ ールデングローブにタイ映画としてエントリーし、最優秀外国映画に選ばれている。
キムさんは「クリエイティブラボ・ハワイ のライターズ・イマーシブに参加する前は、脚本や映画業界に関する知識はそれほどありませんでした」と言う。「僕は香港のフィルムアカデミーでの短期講習以外、映画制作の専門学校に通ったことがありませんでした。本を読んだり、DVDを見たり、自分で映画を作ったりして独学で覚えた僕にと って、クリエイティブラボで学んだキャラクターシートの作成やラウンドテーブルでの意見交換といったことはどれも初めての経験で、とても役に立ちました」と語っている。
ワークショップには、業界の内情に詳しい人材が講師として全米から招かれる。参加者たちは彼らから映画業界の実情を知ることができるだけでなく、起業のためのヒントやアドバイスを得たり、若い作家志望者たちにとっては業界へ売り込むために重要なコネクション作りにも役立つ。映画『ミリオンダラー・べイビー』や『クラッシュ』で知られるアカデミーアワード受賞脚本家で、監督兼プロデューサーのボビ ー・モレスコ氏や、人気テレビシリーズ『ハワイファイブオー』の製作総指揮者のピーター・M・レンコフ氏、ピクサーのアニメーション映画『インサイド・ヘッド』を手がけたアカデミーアワード受賞脚本家のメグ・レフォブ氏などがこれまでに講師を務めている。
「脚本や映画制作の最前線で活躍するスターから教わることのできる素晴らしい体験でした。それぞれの講師から様々なことを学びました」と2013年のライターズ・イマーシブに参加したホノルル在住の小説家のクリス・マッキニーさんは語る。マッキニーさんが2011年に書いた脚本『Paradise Broken』が「Resurrection Boulevard」というショータイムのテレビ番組の製作総指揮者でイマーシブの講師の一人のデニス・レオンさんの目に止まった。「私が取り組んでいた作品を気に入ってくれ、もし局側から承認が出ていれば、彼がエグゼクティブプロデューサーとして制作してくれるはずでした。ライターズ・イマーシブは授業だけでなく、実際に仕事をしていく上でのパートナーと出会える場所でもあるのです」。
クリエイティブラボ・ハワイは、意欲はあるものの業界に入る足がかりのない熱心なアーティストたちに実質的な成果をもたらすものだ。バーチャーさんは「夢想家と実行者には違いがあるといいます。夢想家だった私はこのプログラムのおかげで実行者になることができたのだと思います」と喜びを語った。
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